日本囲碁界が覇権を取り戻すために目を向けるべき世界とは

  • 中村菫さんの10歳(当時)での最年少入段
  • 芝野虎丸さんの史上初10代での名人位獲得
  • 井山裕太さんの7冠同時制覇国民栄誉賞受賞

このように、日本の囲碁界はここ数年、稀にみる話題豊富な時期を迎えています。

各メディアにも取り上げられて、囲碁界や囲碁棋士が注目を集めることも増えました。

しかし一方で囲碁関係者、さらには長らく囲碁を好いているファンの方の中には、根強い悩み?焦り?願い?を抱えて悶々としている方もいらっしゃるのかも知れません。

  • 『囲碁の競技人口の減少』
  • 『スポンサーの撤退による棋戦の減少や賞金の減額』
  • 『長らく世界で勝てず、ランキングも低迷』
  • 『SNSのフォロワー数が将棋界にだいぶ負けてる』etcetc…

いずれも囲碁界にとって厳しい現実を示唆するデータです。

棋士の皆さんの場合、普及に対する自身の仕事のバランスによって具体的な対策には違いがあると思います。そして、インストラクターや碁会所の方々も様々な取り組みをされています。最近ですと『囲碁を楽しめる場所』を支援するクラウドファンディングなどもありましたね(※無事達成されたとのことでおめでとうございます!)。

囲碁大国は一日にして成らず、ということは理解している中、ファンとしてもこれらの現実を受け止めた上で、現状を打破する施策を打ち出したいところ(注:頼まれてない)。

そしてそれぞれに「こうすればいいんじゃないか」という思い、考えがあると思います。

それもまた正解かもしれないし、あるいは私の案がスマッシュヒットとなるかもしれない。別の記事で書きましたが、「あーだこーだ考えるのは楽しい」んです。

ただ一つ、大きく残念なのは、それぞれの考えをもとにした話の着地点の多くが「だから○○はダメだ!」「△△じゃなくてこれをした方がいい」というように、『今一生懸命考えて頑張って活動している人たちに対するダメ出し』に終わってしまっていること。

いや、気持ちはわかるけど、なんかもうちょっと前向きな話にできないかな。。。

そう思ったので、ブログを更新することにしました。

今回の記事では私も一人の囲碁ファンとして、日本の覇権復活のきっかけとなるかもしれない一つの主張を書いてみようと思います。

行動が伴わない空想話の域を出ないのですが、読み物として面白くなるよう頑張ります。

日本囲碁界は将棋界に囚われ過ぎてはいけない

将棋はあくまで「近所の仲のいい友達」

まず、これを認識として持っておきたいです。

囲碁と将棋は「伝統的なボードゲーム」だと括れば似ているし、よく「お隣の囲碁界(将棋界)は・・・」と紹介されたりします。

お隣であることは間違いないですし、将棋界は注目を浴びてもいるから参考にもしたい。
虎丸先生やあさりんご先生のように、強くてキュートな棋士もたくさんいるので、可能な限り同世代の藤井聡太さんのブームには乗っかりたい。

でも、「囲碁界として参考にすべきもの」ではないと思う。

では何をロールモデルとすべきか。

囲碁界が参考にすべきはスポーツ界

囲碁界は、各種スポーツ界の取り組みを参考にできないかなと思いました。特にイメージするのは、卓球やバドミントンなど。どのように日本が世界と戦えるレベルにまで強くなったのか?という問いに対する答えを、実際に日々世界での存在感を増しているスポーツ界に求めようという提案です。

その理由は、世界と比較した時の日本囲碁界の置かれた状況に、これらスポーツ界との類似点を多く見出したからです。

以下にその点を説明します。

類似点①:日本一=世界一ではない

ここは、囲碁と将棋の大きな違いであり、今回参考にしたいスポーツ界との共通点であると言えます。

「井山さんでも世界20位ぐらい」というレートが存在するため、誰が日本で勝っても「上には中国、韓国がいる」と意識せざるを得なくなります。

「10代の名人!!」と一昔前だと考えられないニュースがあったとしても「でも世界だと・・・?」と考えてしまい、イマイチ突き抜けた盛り上がりに繋がらない要因になっている気がしています。

類似点②:中国(国を挙げてる)がトップ

中国は基本的に、これだと決めた競技に関しては国として力をかけ、その人口の多さを生かして苛烈な競争環境を作ることで「強い人を絞り込んでいく」スタンスだと理解しています。囲碁に関しても才能ある子はそれだけで都市部にある養成機関に移り住み、徹底的に囲碁の教育を施されると聞いたことがあります。

「日本の制度上それは難しい。15歳までは義務教育があるし、そこまで国として強制されている環境ではないから仕方がない」という考え方もあると思いますが、果たして本当に太刀打ちできないのでしょうか?

バドミントンや卓球も、同じように苛烈な競争の結果で代表選手が選ばれているはずです。でも、日本選手が勝つこともある。卓球やバドミントンに至っては、一昔前と比べて明らかにその差を詰めています。

囲碁にも、日本と中国との差を詰める対策は必ずある。そう思えてなりません。

類似点③:少数のスターがきっかけで若手の層が厚くなる

少数のスター、トップ棋士がきっかけで囲碁界への認知が広がり、腰を据えた「世界で戦える人材の育成」が重要であることを考えさせられたのも、スポーツ界でした。

バドミントンで言えば、オグシオのずっと前に陣内貴美子さんがいました。

彼女に憧れた後輩たちの中にオグシオがいて、オグシオに憧れた後輩にフジカキ(ロンドン五輪銀メダル)やタカマツ(リオ五輪金メダル)がいた。そして気づけば、そのタカマツペアが五輪に出られるか分からないぐらい日本の層が厚くなっている。

個人でも桃田賢人さん、奥原希望さんや山口茜さんが世界ランキング一位になっています。

彼女たちはジュニア時代から代表入りし、ナショナルチームで、世界で戦うための教育を受けてきました。

卓球では、福原愛さんが卓球人気を牽引した部分は間違いなくあったでしょう。今は石川佳純さんや伊藤美誠さん平野美宇さんなど、世界で活躍している日本人選手が増えている。

みなさん若いころからナショナルチームに入り、最初から世界を目指して練習を積んできています。

何を参考にすべきか?

それでは、具体的に囲碁界はスポーツ界の何を参考にすべきか?

私の考えつく限りは以下の4点です。

  • 長期的な強化戦略
  • 指導者の派遣、雇用
  • 科学の力を利用する
  • プロモーション戦略

順に説明します。

長期的な強化戦略

「世界で勝てる日本を、長期的なビジョンで作る」ことに関しては、競技に関係なく学ぶことがあるように思います。これは棋士個人というより棋院の課題かもしれません。

バドミントン日本代表ヘッドコーチをされている朴柱奉(パク・チュボン)さんや、育成に携わる協会の委員の方などに是非その心構えなどを取材するのはいかがでしょう?

朴さんはインタビューで「世界とのレベルの差を知ることが大事」だとおっしゃっていました。囲碁はネットで対局が出来るので、もっともっと世界と戦う機会を設けるべきだと思います。形式はともかく、それなりに緊張感のある状況、つまり公式戦として、中韓の棋士たちと打つ状況を作れないかなと思いました。

虎丸先生が甲級リーグに参加されたのとか、すごくいいですよね。

芝野虎丸名人が中国甲級リーグに参戦

以前のように日本棋士チームも作ればいいと思います。今やネット対局もそこまで抵抗がないでしょうし。

指導者の派遣、雇用

若手棋士が武者修行に行くのももちろん有効だと思います。それはもちろん選択肢として残しながらも、指導者の中国への研修とかできたらいいのではないかと思いました。

対象は、院生師範をされるようなベテランの先生。もちろん言葉の壁などもあるかとは思いますが、若手棋士と呼ばれる世代から、少年少女の世代の指導法や環境、日本との違いなどを1~2年、がっつり吸収してきてもらうというのはいかがでしょう?

あるいは、中国棋士の誰かを日本棋院で雇うとか。

科学の力を利用する

先に言っておきますが、AIの話ではありません。

アスリートが科学の力を使ってフォームを分析し、効率的なトレーニングを行うように、囲碁棋士の先生たちの脳みそを強化するアプローチが科学の力を使ってできないかなという取り組みです。

以前より、脳科学と囲碁に関する研究は時折見られます。でもいずれもが認知症関連の研究で、まだまだ未成熟の分野だと思っています。

本当に囲碁と脳科学を絡めようと思ったら、こんなテーマいかがですか?

  • 囲碁が強い人が勝負所でどんな脳の活性化パターンを示しているか
  • 脳科学的にベストな対局時間とは
  • 棋風と脳の関係
  • 棋力に直結する脳トレーニング法の開発

勿論現役棋士の対局を邪魔できないので、院生経験者レベルのトップアマのみなさんに協力していただく必要があると思います。

また、研究そのものはそれなりに時間がかかりそうです。10年スパンでがっつり組んでくれる先生を探さないといけません。

あとは、アスリートと同じぐらいメンタルコントロールが大事だと思います。いつもと同じように力を発揮できるか。これもトレーニングで養える分野なので、棋院としてナショナルチームとかに取り入れてみるのはいかがでしょう。これぐらいは既に導入してるかな。

プロモーション戦略

これはメディアへの売り込み方というか、番組の見せ方といった部分をスポーツから活かせないかと思いました。コンセプトとしては、「世界に挑む日本」という構図を前面に押し出すこと。この構図は日本人結構好きです。

そして、これは将棋には出せない盛り上げ方なんですよね。

あとは大会の形式を少し考えたいです。派手で、国対抗で、日本が勝てそうな形式を。

農心杯は大会のスタイルとしては結構好きなのですが、「勝ち抜き戦で中韓に勝てないと最下位」という構図が控えめに言って地獄。すなわち「コジェ、ジョンファン、ジンソ」という鬼たちを倒さないと日本の勝ちにならないという構造にはメスを入れたいです。

提案としては6か国参戦ぐらいにして、先鋒~大将を勝ち抜きではなく一斉対局に。国同士の対戦は半日で決着がついて、3日ぐらいで各国総当たりできるようにスケジュール組んだ大会作れないかな。私の記憶が間違ってなければ、アジア大会で囲碁が実施されたときがこんな感じの形式だったと思います。

「中韓に負けて最下位」と「中韓に次ぐ三位」だとメディアの取り上げ方が結構違う。あと、井山さん一力さん虎丸さんの三人なら中韓の棋士にも割と勝てるかもしれないから、国単位で見たときに勝ち越せる可能性も高まりますしね。女流枠とシニア枠、ペア枠とかアマ代表枠も入れての同時対局にすれば幅広い層を取り込めるかも。一斉対局だから何人いても時間的には一緒ですし。

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場所は渋谷で。ペア碁の時みたいに民族衣装着てたらカッコいいですよ!

まとめ

日本の囲碁界が再び世界の頂点に立つための道程は決して生易しいものではありません。でも、どう考えても可能性があるとしか思えません。日本の科学技術や囲碁棋士の方の脳力などを考えると、100m走でメダルを取るよりは明らかに簡単です。

長期的なビジョンを持って囲碁界を牽引してくれる人が現れてくれるか、かなぁ。

何にせよ、棋士その他囲碁界の関係者の皆様にはご期待申し上げます。

私も一ファンとして囲碁を楽しみつつ、絵本を粛々と寄贈していきます。

こてつの囲碁ブログ

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