この記事は、以下のような人を対象に書いています。
- 囲碁って面白そうなんだけど、何から始めたらいいかわからない。
- 最近囲碁を始めたけど、碁敵を出し抜いてもっと強くなりたい
- 家でどんな勉強をすればいいかわからない
読んでいただくとわかるように、囲碁に興味を持ち始めた方、あるいは最近始めたばかりの初級者の方を主な対象にしています。
そして特に「大人になってから囲碁を始めたいと思った方」に対して、その最初の一歩を踏み出すきっかけを提供できればと思っています。
囲碁は子供とお年寄りのゲーム??
囲碁を打っている光景を思い浮かべたとき、みなさんはどんな人が盤を挟んで座っている様子のを思い浮かべたでしょうか?
勿論身近に囲碁を打っている方がいればそれを思い浮かべたと思いますが、一般的な囲碁のイメージってやはり子供かお年寄りのゲームだと思います。
囲碁って若い人が取り組むゲームだという印象がまだ薄いと思うんです。
実際「若くて弱い人」って少なくないですか?
「若い人=小さいころから取り組んでいた人」というイメージがあり、大人になってから始める人ってあまり聞いたことないのですがどうですか?
私は大学を卒業して、会社勤めをするようになってから囲碁を始めました。
それが今から10年以上前のことですが、そんな僕が初めて囲碁に興味を持ったのがさらにその10年近く前、おなじみ「ヒカルの碁」を読んだからでした。
囲碁って結構楽しいのでもっと広まればいいのにと思っています。でも一方で始めたりルールを理解することにハードルがあることも理解しています。
本記事では大人になってから囲碁を始めてある程度打てるようになった僕から、囲碁の魅力や始め方、勉強法などを語ってみたいと思います。
『既に囲碁のルールは知ってる。上達を目指して頑張りたい』という方はこちらもおススメです。
囲碁の歴史
古代中国発祥のボードゲームの一種です。
春秋戦国時代には既に今の形式で対局が行われていたようです。その後日本には7世紀ごろに伝わったと言われています。大化の改新(645年)とかその辺ですね。
それ以来基本的に同じルールで現在まで受け継がれています。
囲碁のルール
囲碁における基本的なルールは以下の通りです。
- 黒、白の石をプレーヤーが交互に盤上(線の交点)に置いていく。
- 相手の石を囲めば取れる。
- 最終的に、自分の石で囲んだスペースの大きい方が勝ち。
「石の生き死に」や「コウ」の理解は最初は少し難しいかもですが、慣れればわかるようになります。
囲碁の魅力
囲碁はルール自体はとてもシンプルですが、とても奥が深いです。
定石や手筋と呼ばれる技を覚えたり、作戦が上手くいったときの快感は何物にも代えがたいです。
局所で戦いを繰り広げながら、それが全局に与える影響を考えたり、逆に全局の状況、形勢を見積もってどこで次の戦いを起こすかを判断します。
さらに常に全体の状況、形勢を判断し、売られたケンカを全力で買うのか、適当にあしらうのか等、戦いの始め方や止め方なども意識しながら打ちまわしていきます。
こういった戦略を思い描くときには、まるで自分が河了貂や李牧(キングダム)にでもなったかのようなワクワク感があります。
19×19と盤が広いので、そのパターンは無限大です。
1500年近く打たれているにも関わらず攻略法、必勝法はありません。事実、これまで世界中のプロ棋士たちが打ち方を研究してきましたが、そこであり得ないと言われていた手が囲碁AIによって採用されました。
つい数年前まで、「AIは近年だいぶ進化してきたが、それでもアマ6段ぐらい」とプロ相手ではハンデを貰わないと勝てませんでした。ですが、2015年のAlphaGoの登場以来、今ではAIに勝てる人間はいません。
AIはこれまで人間が打つことのなかった手を次々と繰り出し、囲碁の新たな世界への扉を次々と開けている印象です。
「神の一手(ヒカルの碁)」に人類がたどり着くのはまだまだ先のことになりそうです。
囲碁の始め方
囲碁の始め方は簡単です。最初のステップとして取るべきは以下の通り。
○入門書、碁石セットを買う
ちゃんと始めてみよう、と思ったら、まずは初心者用の本を1冊買いましょう。このレベルの本は1冊あれば十分です。基本的なルール説明の部分を読みつつ、書かれてある通りに石を並べてみるといいかなと思います。
私のおススメはヒカルの囲碁入門。
それに加えて、実際に石を手に取って本に書いてある通りに石を並べてみるのがおススメです。そのため、安いもので構わないので碁石+碁盤のセットを合わせて準備しましょう。
私はガラス製の碁石セットとプラスチックの碁笥、そして折り畳みの出来る碁盤マットを購入しました。全て買っても10000円もしません。安く揃えられますし、初心者はこれで十分だと思います。
碁石セット
より安価なプラスチックもありますが、ガラスの方がおススメ。持った時の程よい重みが手になじんで石を並べるのが楽しくなります。
碁盤マット
写真ではわかりにくいですが、板ではなく薄い布製です。片付けにスペースを取らないし、手入れも不要なので使いやすいです。
碁笥
四角いケースも収納性に優れていますが、やはり碁石の入れ物はこの形が雰囲気が出て良いと思います。
道具を揃えたら、まずは本に載っている手順に従って石を並べてみると言いうと思います。最初は何故そこに打つのかもわからないと思いますが、それで大丈夫です。雰囲気を感じることが出来れば十分だと思います。
○無料のアプリなどで対局してみる
ルールがある程度わかったら、とにかく実戦です。
いきなり19路盤は広すぎてどこ打っていいかわからなくなるので、9路ないし13路盤がおススメです。
囲碁クエストや囲碁ウォーズといったスマホアプリなら、お金をかけずに実戦経験を積むことが出来ます。
最初は中々勝てなくて楽しくないかもしれませんが、レベルの低いBotなどと戦いつつ、少しずつ経験値を上げていくことが出来ればそのうち勝てるようになります。
囲碁ウォーズについてはこちらの記事もどうぞ
19路盤で打てるようになったら、Yahoo IDを使ってオンライン対戦が可能ですし、KGSやハンゲームなどのサイトでアカウントを作れば世界中の人と対戦ができます。
レベルも様々で、もちろん初心者の方も常に参戦されています。誰かしら棋力の近い人と対局できるので、実力差がありすぎてつまらない、ということにはならないかと。
○碁会所の入門教室に通う
子どもを対象とした教室は比較的たくさんあるのですが、大人にもちゃんと教えてくれます。
ですが、大人の初心者の中でもいわゆる若者のビギナーはやはり少なくて、仕事を引退されたようなご年配の方々が多い印象です。
多くの場合、碁会所の先輩方は若者初心者を可愛がってくれます。僕も随分ボコボコにされながら指導をうけながら楽しく対局ができました。
仕事がある僕たちの世代の教室は週末、つまり子供と同時間帯になることが多いでしょう。平日の夜にコースがあればラッキーです。
私も始めた当初は小学2年生の少年が兄弟子でした。しばらく勝てずに悔しい思いをしていましたが、それが刺激になり勉強に身が入ったというのも正直なところです。
囲碁の実力の磨き方
ちょっと始めてみて、なんだかとても面白い、自分ハマったかも!という方は是非初段、三段を目指して勉強することをおススメします。多分初段ぐらいなら誰にでもなれます。
僕は今多分三段ぐらいで打てていて、そのためにどんな勉強をしたかというと、①詰碁や手筋の本を読む、②好きな棋士を見つけたりして棋譜並べ、③指導碁を受ける、④オンライン、オフライン対戦、です。
①詰碁や手筋の本を読む
詰碁と手筋の勉強は上達のために必須です。初心者向けの簡単な本から始めて、中身を完全に覚えたり理解したりしたら次のレベルに写るようにしましょう。
②好きな棋士の棋譜並べ
NHK杯を見たりして好きな棋士がいる方は、是非その棋士の方の棋譜(対局の記録)を集めてその順番通りに石を並べる「棋譜並べ」をしましょう。
一手一手に必ず意味があり(ほとんど汲み取ることはできませんが)、その一部だけでも感じることが出来ればそれは自分の中に積みあがっていきます。
個々の棋士はよくわからない、という方は「ヒカルの碁」の対局で採用された棋譜を並べるというのも楽しいのかも知れません。
おススメは「進藤ヒカル vs 和谷義孝@プロ試験(趙治勲先生 vs 大竹英雄先生)」と「塔矢光洋 vs sai@ネット碁(林海峰先生 vs 依田紀基先生)」など。
左右反転、白黒逆など細かい点は元棋譜とは異なりますが、いずれもググれば出てきます。
③指導碁を受ける
近くの碁会所に行ってみて通えそうだったら、そこの席亭さん(オーナー)に指導を受けてみるといいと思います。どなたもアマ5~6段ぐらいの棋力はあり、初心者が指導を受けるには十分です。
可能であれば自分で棋譜をつけながら対局し、局後に振り返りの時間を取ってもらうようにしましょう。
「この手は悪い、こう打つべき」「この局面でここに打たれたら嫌だった」というポイントが必ずあります。それを1つでもたくさん指摘してもらって、次までに自分のものにする。その繰り返しで棋力は伸びていきます。
④オンライン、オフライン対戦
基本的に囲碁は対局を重ねれば重ねるだけ強くなります。
「1000回負けることが出来れば、そのころにはあなたは初段になっている」という言葉をどこかで読んだことがあるのですが、1000回負けるには普通2000回以上対局する必要があります。
たくさん対局して、そこから少しでも学びを得ることが上達への近道です。
対局はオンライン(ネット碁)、オフライン(碁会所)があるのですが、個人的にはどちらか一方ではなく、両方楽しめればいいと思っています。
オンラインは手軽さとお金が掛からないことがメリットで、オフラインは実際の石に触れる臨場感と対局者同士の会話などを楽しめる方に向いているかなと思います。
大会に出てみよう
実力がついてから、あるいはつく前でも大会にエントリーしてみるのがおススメです。
大会は規模の大小問わず緊迫感があり、緊張しますがとても楽しいです。地域の囲碁大会に出てみるのもいいですし、大都市で開催される宝酒造杯などは特におススメです。
私も寶酒造杯の横浜大会には都合が付けば参加するようにしています。
中々上達しませんが、いい緊張感の中で戦えるとその後(最中)のお酒も美味しいです。
まとめ
囲碁は簡単に始めることが出来て、奥の深いゲームです。
頭の体操にも最適で、いいこと尽くめです。とても楽しいので気になる方は是非チャレンジしてみてください。